『 宝 島 』 島をサンサンと照らす真夏の太陽の下、 ぴよたは、流れていく雲を眺めながら、 何かが面白い事が起きないかと考えをめぐらせていた。 「そだ!!」 突然、ぴよたは、何かを思いつき、足早に歩いた。 仕事仲間のすずみとぺんぞうの所へ行こうと思ったのだ。 僕たちは、iceGearと言う会社に入り、 毎日張り合うようにして 営業成績を競っていた。 ぴよたは、地道にお菓子を売っている。 売れ行きはいいのだが、一つの商品に対して安すぎる価格に、 あまり営業成績が伸びていなかった。 すずみは、たくさんのお花を売り、 ぺんぞうは、たくさんの積み木を売り、 2人は、グングン成績をあげていっていた。 それでも、ぴよたは、すずみやぺんぞうに 負けてはいないと思った。 なぜなら、一番、来店が多いからだ。 沢山のもんごっこ達が、よく来てくれるだけで、 ぴよたは嬉しかった。 毎日、あくせく働いてるけど、 今日から、長期の夏休み☆ 久しぶりに会う、すずみとぺんぞうを思い出し、 ぴよたは、ギラギラとした太陽に向かって、大きくジャンプした。 「よっ!!」 ぴよたは、ヒマワリの手入れをしている すずみの肩をポンと叩き、 久しぶりっと笑顔を向けた。 「ぉおおwwwぴよたぁ〜〜〜☆」 「ぁぁああ、失礼!!!(・・;)汗」 すずみは、思わず、ジョーロの水を ぴよたの足にかけてしまった。 「気にしないw気にしないw」 と、ぴよたは、表情を変えずにすずみに言った。 久しぶりの再会にそんなことは、どーでも良かった。 「これから、ぺんぞうの所に行かないか?」 ぴよたは、羽をパタパタさせて、すずみの返事を待った。 すずみは、少し考える表情をした後、大きく『うん!!』と頷いた。 僕たちは、さっそく、ぺんぞうの元へと羽を羽ばたかせた。 ぺんぞうは、両手にフラスコを持ち、何やら奇妙な実験を していたが、ぴよたが、無理矢理ぺんぞうを外へ連れ出した。 せっかくの休みだし、遊ばないと損々w 僕たちは、南国の花が咲くリゾートプールへと向かった。 ぺんぞうは、思いっきり邪魔されたような顔をしていたが、 決して怒らない。温和な性格だった。 目の前ではしゃぐ やんちゃな ぴよたと、 足並み軽く歩きながら、歌っているすずみの後を 優しく見守るようにペタペタと歩いた。 いつしか、ギラギラとした大きな太陽が、 僕たちのテンションをあげていった。 「やっぱ、プールは。゚+.(・∀・)゚+.゚イイ!! 」 ぴよたは、スイスイと泳ぎ、プールサイドで、 アイスティを飲んでいるぺんぞうの所へ行った。 「ぺんぞう!!おまえwぺんぎんなんだからw泳げよw」 運動音痴のぺんぞうは、クルリとプールを見渡し、 「いや・・・僕はいい・・・w」と、 ボソっと言った。 「ヾ(- -;)ぉぃぉぃ。何のために水かき付いてんねんww」 ぴよたは、パタパタと動かしているマンゴーのような ぺんぞうの足の裏を眺めながら笑った。 すずみは、南国の花を見ながら、涼しそうに泳いでいた。 「これ・・・w売れるかなぁ〜〜w」 さすが、しっかり者のすずみだ。 休みの日でも、商品の事を考えているようだった。 ぴよたは、バチャっと、そんなすずみに水をかけた。 「もぉーー!何するのぉー!!w」 すずみは笑いながら、ぴよたに水をかけ返した。 サンサンと照りつける太陽の光で、 プールも海も全てキラキラと目に映っていた。 「ぉ・・・あれ、なんだ??」 ふと、プールサイドのぺんぞうが、 不思議そうに、遠くの海を見ていた。 その視線の先には、大きな箱が、プカプカと波に揺られながら、 ユックリと広い海をさまよっていた。 興味津々な ぴよたは、海に飛び込むと一気に泳ぎ、 箱を抱えながら帰ってきた。 僕たちは、身を乗り出して、その箱をジーっと見た。 その箱は、古びていて、何が入っているのか、 僕たちの興味をそそった。 「海に浮いていたのだから、ただの空き箱だったりw」 ぺんぞうは、笑いながら、ぴよたの妄想を くつがえすような事を、横からクチ出した。 ぴよたが、その木箱をこじ開けようとしたが、 何気に、しっかりできていて、うまく開かない。 ぺんぞうも手伝うと、パキっと音がして、箱が少し開いた。 僕たちは、中を覗き込んだ。 そこには・・・ 一枚の紙切れが、入っていた。 「宝の地図だっ!!!」 ぴよたは、目を輝かせて、箱の中に手を伸ばした。 「ォィォィ(*´∀`)ノ)))」 そんなぴよたに、すずみが冗談をwとばかりに突っ込んだ。 その紙切れを開いて見てみると・・・ 地図らしきものだった!! ぴよたの予想は、みごとに的中していた。 海水で、ビチャビチャになって、 描かれている文字が全てにじんでいたが、 よーく見ると・・・ 大きな島の近くの離れ島らしき島が描かれ、 その離れ島に、暗号のような記号が記されていた。 「―――――!!!」 僕らは、目を丸くした。 まさか、宝の地図だなんてと思ったが、 ・・・そのまさかだった。 「もしかして・・wどんぐりザックザク!!出てきたりして!ww」 すずみは、目をつむり、幻想にひたっているようだった。 「そーすると・・・僕らは・・あれですかね(何」 「あくせく働かなくても良くなるのですかねw(ぉぃ」 ぺんぞうは、好きな研究が沢山できる!と胸を躍らせた。 ぴよたは、夢にまで見た探検隊だー!!と、 今もなお、眠っている宝物に、胸をときめかせた。 僕たちは、知らないうちに・・・ それぞれの夢を見みながら、その地図をじっと見つめていた。 もんごっこの島を全部把握している僕たちには、 どこの島でも手に取るようにわかった。 ・・・しかし・・・ そこに記されている地図は、だいぶ昔のもので、 地形が変わってしまったのだろう。 どこの島を記しているのか、僕らには判らなかった。 「あの・・・島かなぁ〜〜・・・」 ぴよたが、ふと、つぶやいた。 検討違いかもしれないけど、そこに行くしかすべがない。 ひとまず、僕たちは、そこに向かう事にした。 僕らの事を宝物が、待っている・・・ ぴよた達は、キラキラと青く輝く海よりも 目を輝かせて、前へ前へと泳いだ。 ところが、泳ぎの苦手なぺんぞうは、少しずつしか進まない・・ 泳いでは、後ろを振り返り、泳いでは、振り返り・・・ ぴよたとすずみは、遠くで仕切りに足をバタつかせて、 泳いでいるぺんぞうを見守った。 「早くぅ〜〜〜」 すずみが、ぺんぞうをせかすように言った。 こりゃ〜まいったな〜と言う顔を覗かせて、ぺんぞうは、 少しでも、ぴよた達に追いつこうと必死に泳いだ。 そんなこんなで、やっと、ぴよた達が、島についたのは、 夜遅くになってからだったが、 いてもたっても、いられなかった僕たちは、すぐにでも、 宝物とご対面したかった。 その島によく営業にまわっていて、詳しいぴよたは、 こっち!!と薄暗い中、すずみとぺんぞうを誘導した。 「たぶん・・・方角的には、こっちのはずなんだぁ〜〜〜」 あやふやな言葉だったが、すずみとぺんぞうは、 ぴよたの後をついて行くしかなかった。 そのうち、空に雲が広がり、月明かりさえなくなり、 真っ暗な海をあてなくさ迷い続けた。 「こ・・・こゎぃよぉ〜〜〜」 すずみが、声を震わせて、言い出した。 「もぉ・・・帰ろう・・・」 確かに、星すら雲で隠れてしまい、月明かりが、たまに 雲の陰から覗くくらいで、真っ暗な海は、昼間とは違い、 何か恐ろしいものが、出てきそうな感じを漂わせていた。 僕たちは、だいぶ遠くまで泳いで来ていた。 引き返すのにも・・・ だいぶ時間と体力がいるだろう・・・ ぺんぞうは・・・ もう沈みそうな感じで泳いでいる・・・ (・ω・;A)アセアセ… 「しかたない・・・」 ぴよたは、泳ぐ足を止めた。 そして、持ってきた木を海に浮かべると、そこで 野宿・・・いや・・海宿・・(ぇえ)することにした。 「ぇ〜〜〜ちょっとぉ〜〜〜」 「ここで・・寝るのぉ〜〜〜〜〜!?」 すずみは、イヤそうに、その木の上に飛び乗った。 しかし、しかたないと断念すると、 静かに寝息をたてて眠りだした。 ぺんぞうも、やっとその木までたどり着くと、 おなかを上にして、ゴロンと横になり、そのまま寝てしまった。 相当、疲れていたのだろう。 目指していた場所には・・・離れ島どころか・・・ 果てしない海しかない・・・ この島は・・・本当にあるのだろうか・・・ それとも・・ 誰かのイタズラ・・・? 暗闇の嫌いな ぴよたは、少し弱気になっていた。 そして、どこまでも続く真っ暗な海をじっと見つめていた。 次の日。 夜の天気とは、打って変わって、 まぶしい太陽が、水平線から顔をだした。 その光に、すずみが起きて、 「キャーーーーーーー!!」と歓声をあげた。 ぴよたとぺんぞうは、ハッと起きると、 『宝島あった??!!』とばかりに、 キョロキョロと周りを見渡した。 しかし・・・ そこにあったのは、宝島ではなく。 僕たちが、離れ島へ出発した大きな島だった。 「なぁ〜〜〜んだ・・・」 ぴよたとぺんぞうは、声を合わせて言った。 すずみは、海で生活するなんて、 もっての他だと言い張ると、 島の海岸まで泳いで行った。 ぴよたとぺんぞうは、ヤレヤレとため息をつくと、 すずみの後を追うように、島に戻った。 「宝島なんて、始めからなかったんだよ〜」 もし、あるとしたら、●▼■・・・と、学説的な事を ペラペラとぺんぞうは話しながら、泳いだ。 その話は、ぴよたには、サッパリ判らなかったが、 宝島がないと思いたくなかった。 だって、この地図がある限り、絶対に・・・ ここではなくても・・どこかにあるはず・・・ ぴよたは、諦めたくなかった。 すずみとぺんぞうは、探す気力を失っていたが、 ぴよたの説得で、数日間、その島に滞在して、 海に出ては、宝島を探す事にした。 島には、大昔、お城が建っていたらしく、 その建築物の遺跡が点々とあった。 その王族たちが、きっと宝を埋めたに違いない。 ぴよた達は、夢を膨らませながら、 いろんな所を探しまわった。 目には、見えない島を・・・ 僕らは、探し続けていた。 ぴよたが、宝の地図を握りしめて泳いでいたせいで、 次第に、海水で更にボロボロになっていった。 もう、宝島なんて・・・ない。 と、ぴよたは、海岸にバタっと仰向けに倒れると、 流れる雲を見つめ、いつの間にか、そのまま寝てしまった。 照りつける太陽の光と暑さで、ぴよたは、目が覚めた。 そして、ハッとした。 手にしていた地図には、 今まで見た事もない文字が薄っすら刻まれていたのだ――。 太陽の熱で、地図が水分をなくし、カラカラになり、 隣に置いてあったビンが、虫眼鏡の役割を果たし、 直射日光で炙り焼き状態になったのだろう。 ぴよたは、あまりの驚きに転びながら、すずみ達のもとに走った。 そして、よーく火で炙り、文字を浮かび上がらせ読むと、 そこには、 『半月 明くる朝 太陽の日が東から上がる時、島現る』 と、記されていた。 今まで、海に眠っていたのか・・・ 「探し回っても、ないはずだよぉ〜〜w」 ぴよたは、一歩近づいたと、胸をワクワクさせて言った。 「確かに、半月になると月の引力に関係して、 海が一番小潮になりますね〜w」 学説には得意分野のぺんぞうが、 なるほどぉ〜と感心した面持ちで説明した。 「ぉーw潮が引くと、宝島が現れるって事ねww」 ぺんぞうが言った事をすずみが完結かつ判りやすくまとめた。 僕達は、首が後ろに曲がりそうになるくらい、 その夜、空を見ていた。 なぜなら・・・ あまりにも、雲に覆われた空で、月が姿を現さなかったからだ。 「今夜は、見えないねぇ〜〜」 すずみが残念そうに呟いた。 確か・・・昨日・・・少しかけてたから・・・ まだ日数はあるはず・・・。 しかし、僕たちは、半月があまりにも待ち遠しくて、 いつまでも、いつまでも、 月が姿を現すのを待っていた。 次の日も・・・その次の日も・・・ 僕たちは、期待を胸に、夜になると3人肩を並べて、 ずっと、夜空の月を見続けた。 月明かりが、そんなぴよた達を、見守るようにそっと、包んでいた。 そして・・・。 とうとう、半月の夜を迎えた。 夜空は晴れ渡り、たくさんの星々が瞬いていた。 僕たちは、月明かりの下で、乾杯した。 日に日に募る大きな期待に胸をふくらませて、 ぴよた達は、ピークにはしゃぎ合っていた。 その夜、僕たちは、眠れなかった。 優しく降り注ぐ月明かりの下で、 ずっと ずっと 宝島が浮かび上がるであろう はるか遠くの海を眺めていた。 薄っすらと明るさを帯びた空になると、 僕たちは海へと飛び込み、まっすぐ、まっすぐ進んだ。 いつもよりも高く感じられる澄んだ空は、薄紫色に染まり、 朝焼けがとてもとてもキレイな朝だった。 少し泳いで行くと、目の前に、海からほんの少し頭を出した 幻想的な島がぼんやりと見えてきた。 「!!!!!!!!!!!」 ぴよた達は、とうとう見つけ出した。 今まで、誰にも気づかれずに・・・ そこに静かにたたずんでいるかのようだった。 その島には、ドスンと大きな岩が置かれていた。 きっとこの岩の下に宝物が埋まっているに違いない。 僕たちは、力を合わせて、岩を持ち上げた。 しかし、上に持ち上げても・・・いっこうに動かない。 ぺんぞうが、疲れた〜〜と言い、岩に腰掛けたその瞬間。 「うゎっぁあああ!」 突然、岩が横にスライドして動き、 ぺんぞうは、ひっくり返ってしまった。 「だっ・・・大丈夫・・?!ww」 ぴよたとすずみは、そんなぺんぞうを見て、 少し笑いがこみ上げたが、息を整えて、 転んでしまったぺんぞうを起こし上げた。 すずみが、いつまでたっても、笑いが止まらないらしく、 ぺんぞうに判らないように、口元を翼で隠しながら、 岩の下にあるその小さな穴を覗き込んだ。 少し小さい入り口だが、そこには、 下まで続く階段があった。 僕たちは、その階段をゆっくりと恐る恐る下りて行った。 ぴよたよりも先に進んでいる すずみの足がふと止まった。 なんて事だろう・・・。 ここまで来て、行き止まりになってしまった。 時の流れのせいで、土砂がかぶり、 水圧でその土砂が、固められてしまっているようだった。 自然の力で、埋め立ててしまっている状態に、 僕たちは、あまりにも意外な展開で、行き場を失ってしまった。 早くしないと、潮が満ちてきて、 また、この島がなくなってしまう。 ぴよたが、立ち止まっていると、今まで、やる気を見せなかった ぺんぞうが、先頭まで行き、そっと壁をさわると、 「ここまで、僕たちは、やってきたじゃないか!」 「あきらめずに、ここを乗り切ろう!!w」 「それに、海水で、まだ柔らかい土だ。いけるよ!」 今まで見た事ないぺんぞうの姿に、ぴよたとすずみは、 一気に元気を取り戻した。 「そうだなwここでくたばってる暇はないんだ!w」 そう言うと、ぴよたは、勢いよく土を掘り出した。 さっきまで転がってた ぺんぞうではないと、 すずみは、見直したように ぺんぞうの事を見て、 大きくその言葉に頷いた。 土が、どんどん固くなっていったが、 羽を休める事はしなかった。 僕たちは、顔も手も真っ黒になりながら、 必死に、掘って掘って掘り続けた。 同じ目的を果たそうとして、3人の息が、 ここまでピッタリ合ったのは、初めてだった。 まだ、宝物も見つかっていないのに、 懸命に掘っているぺんぞうとすずみの横顔を見て、 ぴよたは、何だかとてもとても嬉しい気持ちになっていた。 「ぁ・・・」 更に奥へとつながる穴が、ほんの少しだけ開いた。 ぺんぞうが、体当たりして一気に泥の壁を壊した。 妙に頼もしいぺんぞうの姿に、二人は動揺を隠せなかった。 さっきまで・・・ヨレヨレだったのに・・・ ぴよたとすずみは、スッカリぺんぞうを見直していた。 ←back   next→ メニュー
♪僕らの世界

inserted by FC2 system