『 サボテンの花 』 「( ・Θ・)ピョッ???」 草むらの中から、 赤いキレイな羽根を持つ一羽の小鳥が、生まれた。 どうやら、木の上の巣から卵が落ちてしまったらしい。 草がクッションとなり、 無事に生まれる事ができた奇跡の赤い鳥。 ひめ。 ひめは、生まれて初めて見る世界に、 何でも不思議そうに覗き込んだ。 そして、親の知らないひめは、 自分は、一人なのだと思っていた。 しかし、そうではなかったと、 ぽよと会って知ったんだ・・・ 心地よい風が、フワリと吹く暖かい春の日。 テクテクとどこへ行くあてもなく歩くひめは、 一匹のペンギンと出会った。 大きな黄色い足を持つペンギンを ひめは、生まれて初めて見た。 ペタペタと歩く その姿が面白くて、 ひめは、そのペンギンをじっと見ていた。 すると・・・ その小さなペンギンが、ひめに気づき話し掛けてきた。 「ヤホ━━(*≧∇≦)ノ━━イ!」 「(⊃∀`)ぽよ(⊃∀⊂)デス」 よろしきゅー☆と、言う変な言葉に、 ひめは、すぐにぽよと仲良くなれそうな予感がした。 ぽよもまた、幼くして、一人だと言う。 ぽよは、ひめより少し年齢が上だったが、 ひめは、同じ境遇のぽよに親近感を抱いた。 その日以来、ひめは、ぽよと沢山の時間を過ごした。 ぽよは、よく転びながら歩いていた。 「はいwこれ食べてねw」 と優しい笑顔で、ひめは、たくさんの果物を ぽよの手の中に渡してくれた。 そして、ひめは、いつも顔面から転んでいる ぽよの顔についた砂をはらってくれた。 「(>w<)あいがと☆」と言って、 ぽよは、そんな ひめに甘えた。 ひめは、いつもいつも優しかった。 そして、ぽよの事を、助けてくれた。 ぽよの目には、天使のように見えていた。 よく晴れた日には、近くの害虫島に行った。 害虫退治は、ひめの方がお得意だった。 いつも、ぎこちなく戦うぽよに、 ひめは、退治の仕方を丁寧に教えてくれた。 ぽよが、害虫に囲まれてしまった時には、 ひめが、いつでも助けに来てくれた。 ガジガジと害虫にかまれ、 ぽよの体に毒がまわった日には、 フラフラとしているぽよをかばい、 ハーブで薬を作ってくれた。 ひめとぽよが、初めて会った記念日には、 お祝いをして、ケーキを食べまくった。 その時間があまりにも楽しくて、 お互いにいろんな記念日を作っては、 お祝いするようになり、ひめとぽよは、 お菓子やケーキを食べ、無邪気に笑い合った。 ぽよは、ひめの笑った顔が好きだった。 ひめを喜ばせたくて、ぽよは、木の葉を集めて、 大きな「ヒメ」という文字を作った。 が・・・ 秋の風が、せっかくできた 木の葉の文字をかき消してしまい、 「(;m;)」と、ぽよが泣き出した時も、 ひめは、ぽよの頭をなでて、 「また、作ろうw」と、励ましてくれた。 また、ひめも、ぽよの喜ぶ顔が見たくて、 ぽよに似ているペンギンのヌイグルミを 買ってくれた。 ぽよは、大喜びして、肌身離さず持ち歩いた。 そのヌイグルミは、ぽよの宝物になった。 ぽよは、ひめが作る暖かいおうちが、好きだった。 たくさんのお花が咲き乱れるそのおうちは、 幸せを形にしたようなものだった。 さわやかな風が、花の香りを部屋の中に運び、 ひめとぽよをとても幸せな気分にさせた。 あまりにも居心地が良くて、 ぽよは、いつまでもゴロゴロと寝転がっていた。 ぽよにとって、ひめは大事な大事な存在だった。 少し頼りないが、 何事にも一生懸命で誠実なぽよの事を ひめも、また、ぽよを大切にした。 ひめとぽよは、たくさんのお話をした。 たくさん遊んだ。 たくさん冒険した。 たくさんの楽しい時間を過ごした。 嬉しい時は、笑い合った。 困った時は、一緒に迷い悩んだ。 悲しい時は、一緒に泣いた。 眠れない時は、眠れるまで夜空を見ながら、 たくさんのお話をした。 判らない事があった時は、ともに探し見つけてきた。 おなかがすいた時には、食べ物を譲り合って食べた。 そして、あらゆる困難も、一緒に乗り越えてきた。 気がつくと、ひめの横にはいつも、ぽよがいた。 いつの間にか、アタシ達は、 たくさんの季節を繰り返し、 たくさんの同じ景色を見て、 ともに歩いていた。 太陽がカンカンと照りつける ある暑い夏の日。 一度も出た事がないこの慣れ親しんだ島を 出て旅をしようと、アタシ達は決めた。 この島には、水浴びができるジャグジーもある。 ボール遊びのできる広い空き地もあった。 そして、お金になる貝殻がたくさん取れた。 食料の果物もたわわに実り、 敵の害虫も出てこない。 平和で、暖かな場所。 何も問題は、なかった。 しかし、アタシ達は、 まだ見たこともない島に行きたかった。 それは、少し大人になった証かもしれなかった。 幼い時は、この島から出るのがとても恐かった。 敵がいるかもしれない。 果物がないかもしれない。 たくさんの不安があった。 しかし、もう、あの幼い頃のぽよとひめではなかった。 心には、あの頃なかった勇気と希望を持っていた。 泳いで、海を渡っても良かったが、 ぽよは、ひめのために、カメの形をしたボートを作った。 ユラユラと揺れるボートの上を、ぽよとひめは、 オットットと、体を左右にフラフラさせながら、 ボートに乗り込んだ。 大きく広がる青い海をまっすぐ見つめて、 ぽよとひめは、まだ見ない世界に胸を躍らせた。 ぽよは、ボートの帆を高くあげた。 風の力を貸してもらい、前へ前へ進んでゆく。 振り返ると、小さくなっていく生まれ育った島が 陽炎のように揺らめいていた。 ―――いままで ありがとう――― アタシたちは、島にさよならを告げ、手を振った。 next→ メニュー
♪NIRVANA

inserted by FC2 system