『 夢の果て 』
〜第一章 覚醒〜 



森林の中、純白の羽を持つアヒルのアルは
行くあてもなく さまよっていた。



どこへ行く訳でもなく。
目的地さえない。



誰かに追われている訳でもなく。
ひたすら前へ前へと歩き続けている。


自分が何でここにいるのか、
どこへ向かっているのかも分からない。


アルは見知らぬ風景にキョロキョロした。




・・・ど・・どこだ?


・・・ここ・・・




新緑の葉の間から、木漏れ日が差していた。
顔を上げると、澄み切った青い空が、木々の隙間から見える。


春の少し暖かい風が、吹き抜け、
白い羽がフワフワと揺れた。


全く知らない場所なのに、焦りがなく、妙に心地良い。



少し歩くと、小さな湖畔があった。
覗き込むと、水が透き通って、
小さな魚たちが泳いでいるのが見える。
日の光が湖の底まで差しているかのようだった。


こんなキレイな湖見た事ない・・・



時折、プクプクとのぼってくる泡。

きっと、沢山の魚達が住んでいるんだろう。



アルは、あまりの美しさに息をのみ、
もう一度、その湖を覗き込んだ。



・・・あれ?


いつの間に持ってたんだ?




知らない間に、翼の中にキャンディを握り締めていた。



光に当たったキャンディは、アルの翼の中で、
七色のビー玉のようにキラリと輝いた。



アルはキャンディを食べずに、
そっと、その湖に落としてみた。



キラキラと七色に輝き、揺らめきながら、
キャンディはユックリ落ちていく。


深い深い湖の底にユックリ落ちていく。



キャンディが小さく・・・小さくなり、
やがて七色の光が見えなくなった。




どこまで深いのだろうか・・・

消えてしまった湖の奥をアルは、じっと見つめた。



この世のものとは思えない程、光り輝く美しい湖に、
近づいては行けないものに、近づいてしまったような気がして、
一歩あとづさった。


胸が高鳴り、その場から離れようと、
後ろを振り返った その時だった。



「うわぁぁぁ!!」
知らないペンギンが屈託のない表情で
ジッとこちらを見つめ立っていたのだ。


「だっ誰だよ!!」
思わず、驚いた勢いで、怒鳴りつけてしまった。


しかし、ペンギンはニッコリと微笑み、
アルの肩をポンポンと叩いた。
「こんにちはぁ〜〜〜w(*´U`*)」


背中には何やら、
オレンジ色のリュックサックを背負っている。



あまりにも馴れ馴れしく触る翼を振り払い、
アルは疑い深く、目を少し細めた。



どう見ても・・・コイツ・・・

ピクニックしに来てるだろ・・・(汗)



翼を振り払われても、
ニコニコした表情を向け、
目の前でブンブンと手を振っている。



・・・めっちゃアヤシイが・・・



まぁ・・・

悪い奴ではなさそうだ。うんうん。



ここは道案内をしてもらおう!
そう考え、少し咳払いをして、アルは声を整えた。
「オレはアル。よろしく☆」
はにかんだ笑顔をペンギンに向けて、翼を差し伸べた。

昔から愛想笑いは苦手だ。



「どもwどーもw」
ニコニコ笑いながら、ペンギンも翼を握り返してくる。


「でも、以前にも何度か、ボクたち会ってるぉ☆」


「ぇえ?!」
「ど・・・どこでお会いしましたっけぇ〜?(滝汗)」
「あ・・・ははははあははははー(・▽・;」
アルは笑ってごまかしながら、高速で記憶をたどった。

しかし、思い当たる鳥がいない・・・。
すっかり忘れているだけだろうか?
でも、何度も会ってるのに、知らない事があるだろうか?
きっと・・・何年も前に出会った方だろう。
そう、気を取り直したのも束の間、
耳を疑いたくなるようなセリフを
ペンギンは言い出した。



「ボクはアナタの夢の中の住鳥ですからw」



「ぇ?」
アルは状況が分からなくなり、
ポカンとクチを開けたまま、
ただ見つめ返すしかなかった。



住鳥て・・・。

勝手にオレの夢に住むなよっ!!!




でも・・・これは夢だっ!夢!!



頭が混乱して、アルは頭を抱えてグルグルと回り出した。


あまりのパニック状態で、
状況判断するのに、クチで唱えながら、整頓していくアル。
「ここは、夢の中で・・・」
「アナタはオレの夢に住んでいると・・・」


オレが作り出した妄想上のペンギンで(汗)
実際には存在しないという事か。


それにしても、現実で一回も会った事がないのに、
夢で何回も会ってるって、おかしな話だなぁ。


きっと、忘れ去られた夢の中で出会っていたのだろうか?

いや・・・夢だから、何でもありって事か?

『でたらめな世界=夢』だもんな・・・



「ゆ・・・夢ね!把握したぞ!」
「これは夢なのか!あははははははは」
アルは大声で笑い出した。



覚めてしまえば、終わりなんだ。

だって、夢なんだから・・・w


そう考えると、気持ちも落ち着いてきた。



「ぇぇwそうですとも☆」
ペンギンはリュックサックを木の根元に置くと、
マイペースに敷物を敷き出した。
「さぁ〜どーぞ☆どーぞ☆座って下さいなぁw」

誘われるがままに、アルは、
敷物の端っこにチョコンと腰をおろした。



ペンギンは、鼻歌を歌いながら、
上機嫌にリュックサックから、
飲み物やらお菓子を取り出し、アルに振舞ってくれる。


暖かな木漏れ日の中、
心地よい風が木々の香り運び、
サラサラと新緑達がざわめく。



アルは手元に置いてくれた苺のタルトにかじりついた。


美味しい・・・w

こんな美味しいケーキを食べたのは久しぶりだった。
タルトのサクっとした食感に、
甘酸っぱさとクリームの甘さ加減が丁度いい。

苺とバターの風味がクチいっぱいに広がった。


ペンギンはカチャカチャと
ティカップに紅茶を入れてくれている。


すると、アールグレイティの爽やかな香りが辺りを包み、
いつの間にか、ペンギンのペースに巻き込まれ、
帰る事も忘れて、くつろいでいる自分がいた。



「・・・ごちそうさま・・・」

「ありがとう・・・美味しかったよ」

アルの顔から自然と笑みがこぼれ、
とても暖かな気持ちになっていた。


こんな穏やかな気持ちになれて、
心からアリガトウと言ったのは・・・
久しぶりのような気がした。


そんな素直な自分がなんだか嬉しかった。



「いあいあwいいんだよwボクの趣味だしb」



アルは思いっきり、高く高くジャンプし、
モグモグとお菓子を食べ続けているペンギンに話しかけた。


「あのさ。ボクの夢の方で・・・おかしな話だけど」
「キミの名前ってあるの?」
行儀良く座りながら、モグモグとクチを動かして、
ペンギンは真っ直ぐにアルを見上げた。


「・・・ボク・・・モグモグ・・・」
「・・・名前ないよ・・・モグモグ」
と、少し寂しげに答えた。


「・・・そ・・・そうか・・・」
「オレの夢の中だしな・・・」
「そうだよな・・・すまない・・」
アルは声を低くし、鼻の頭をポリポリかいた
が、突然、

得意げにペンギンの前で仁王立ちし、言い放った。

「じゃあ!おまえの名前を付けてあげよう!!」




「えええええ?!」
さっきまでモグモグと動かしていたクチをポカンとさせ、
大きく目を見開き、アルを見つめた。


アルは、しばらくの間、ジッとペンギンを見つめ言った。
「ギン!オマエは今日からギンだ!!b」


「ギン〜〜〜!?!」
相当嬉しかったのだろう。
ペンギンは、ポンポンと跳ねながら、
敷物の周りを回りながら踊り出した。


「ボクの名前はギ〜〜ン♪ギ〜〜ン♪」




あまりにも嬉しそうに、はしゃいでいるので、
アルは名前の由来が、
まさか、『ペンギン』の『ペン』を取っただけなんて・・・
言えるはずもなかった。(・▽・;



おとぎの国に迷い込み、
今にも不思議の国のアリスが迷い込んで来そうな感じだ。
非現実的な世界。

現実主義者のアルは、日頃、SFものや
おとぎの国、仮想空間というものに、
全く興味がなく、考えた事もなかった。
なのに・・・何でこんな夢を見ているのだろう。


夢とは不思議なものだ。


ギンはひとしきり、騒いだ後、
再び、敷物に行儀良く座ると、
ドラえもんのポケットのように、
リュックサックから次から次へとお菓子を出しては、
それらをパクパクと食べていく。


「・・・ギンは、お菓子が好きなんだな(・▽・;」

「うん!!お菓子ダイスキ!!」


それにしても、
お菓子の食べっぷりがイイ・・・



美味しそうにモグモグ食べているギンを
アルは、ただただ見つめていた。




ひと段落ついたのだろう。


ギンは大木の根元に行くと、ポテっと座り、背もたれ、
足をブラブラと動かしながら、話しかけてきた。

「名前・・・ありがとうね!」
「ボクさ〜ずっと欲しかったんだー!名前(/∇\*)」


「そうかw良かったなb」
そう言いながら、アルはギンの隣りに腰掛けると、
満腹になった大きなギンのおなかをツンツンと突付いた。


プル〜ンとプリンのようにふるえ、何だかオカシイw



アルは湖畔にテクテク歩き、大声で話しかけた。

「しっかし!この湖キレーだよなぁ〜!」

「見た事ないぞ!こんなキレイな所!」




湖を覗き込むアルを見つめ、
ギンは当たり前のように淡々と答えた。







「だって、ここはアルの夢の果てだからだよ」






「・・・果て?」
再び、訳の分からない言葉にアルは聞き返した。



「そぉb」
「夢の果てbここが一番の絶景なんだぁ〜w」

「湖までが、夢の端っこww」
ギンは、イタズラっぽく笑いながら説明している。
「ここから先には、行けませんよっb」



「行くなと言うと、行きたくなるなっ」
アルは、いつになくワクワクしていた。


「行けないお。果てなんだから。行き止りb」
ギンはアルの夢の端から端まで
全て知っているような口ぶりで、得意気に言った。


「ぇえ?!w行き止りって何だよwww」
アルは、あまりのおかしい答えに、噴出した。



「夢の果ての先には・・・」
「何があるのか・・・ボクにも分からない・・・」
困惑した表情を見せ、ギンは声をおとし言った。


夢は無限だ。
果てなんてあるはずがない。




きっと、おかしな夢を見ているだけ。




アルはギンの手を取り言った。


「行こう!一緒に越えよう!」

「夢の果てを越えて、何があるのか確かめるんだ!」


アルの言葉にギンはただただ驚き、
目をパチクリさせた。



アルはギンの翼を握り締め、
フワリと空高く飛び立った。




「わぁ〜〜〜☆」
「ボク、空飛んだの初めてだぁ〜〜〜!」

どんどんと離れていく木々たちを見下ろしながら、
ギンは驚きと喜びの声をあげた。


夢だからか、
お菓子を沢山食べ、
ポテっとした おなかのギンの体は、
まるで紙っぺらのように軽い。


アルは風を切りどんどん空高く進んでいく。



藍色に近い、深い青い空が、
視界いっぱいに広がる。


まるで・・・
大空に吸い込まれるように飛んでいく。




・・・いや・・・


何かに引きずり込まれているような気がした。


嫌な予感がして・・羽ばたく翼をゆるめたが、
どんどんと空高く・・・高く飛んでいく。



「うわぁ〜〜〜〜〜☆」
「すごーーーーい!」



アルの気のあせりも知らずに、
ギンが無邪気に大喜びしている。




下の景色は、とてつもなく小さく小さくなり、
美しい湖も見えなくなった。






まるで、空が引力をもったように吸い込まれていく。




もぉ、身をまかせよう・・・。




・・・ここは夢だ・・・夢なんだ・・・




アルは、そう言い聞かせた。







・・・空の青い青に自分が溶けてしまいそう・・・






冷静な判断なんて必要ない・・・



夢から覚めてしまえば、

全てが終わるんだから・・・



アルは、そう思っていた。







夢の果てを越える前までは・・・。







・・・息苦しい・・・


大気圏まで、オレ飛んじゃったか?!



ウグーーーーーー。


もぉダメだーーー息できねぇぇぇええ!


夢!!!そろそろ覚めろよおおお!!





「ギンーーー!!息してるか?!」

「大丈夫かーー?!死んでねーかー?!」

「夢で死んだら・・・どうなるんだ?!」

アルは必死でギンに問いかける。


決して、手を離さない様、アルは
ギンの手を握っている翼に力を込めた。





「ぐは!!!」
やっとアルは目を覚ました。


異常に最後は疲れた夢だったな・・・



いつもと変わらない自分の部屋を見渡し、
アルはホッと一息した。



よ・・・よかった・・・



ベットの真横にある窓から
朝日が差し込み、アルは眩しそうに目を細め、
上半身だけ起き上がり、伸びをした。


今日もいい天気!快晴だ!



「朝だぁぁ〜〜〜!」




・・・すると・・・
誰もいるはずもない この部屋から・・・
いや・・・真横から声がしてきたのだ。




「んあーこあいよー高いよー(*ノ〜`*)」

横で寝ているペンギンがいた。





寝ごとかよwwカワイイヤツだな☆


って・・・!!!えええええええええ!!!



「おまっ!!!!!!!」



「ギン!!!!!!!」



そう、そこにいたのは、
紛れもなく夢にいたギンの姿だった。




アルはありえない出来事に、
これも夢かと思った。



そうさ。
これも、きっと夢なんだ。


夢の続きなんだな(*´∇`*)





そう思って、アルは、もう一度、
ベットにもぐって寝てみた。



ギンは絶叫しながら、
手足をバタバタとさせて、ベットが揺れる。


「アワギャァァァァア!」

「おーちーるー!」


アルは完全に布団にもぐり込み、
懸命に寝ようとしたが、
あまりのギンの悲鳴に、寝られない。




アルは起き上がると、
「おい。おきろ」と、ギンを揺り起こした。
まず、静かにしてもらわないと、寝られない。


「ぅぅぅ(><;」
ギンは苦しい表情をしながら、ふと目を開けた。


「あれ?」
ギンはキョトンとし、
ジタバタしていた手足をとめた。

「あれ?じゃねーーよ!」
「何でギンがオレのベットで寝てんだよ!」
「んでもって、これオレのマクラだ!」
ちゃっかりギンがマクラを陣取っていた。

ギンの頭の下のマクラを強引に引き抜き、
再び、アルはベットにもぐりこみ寝てしまった。
「おやすみ!」


「んあ?」
ギンは横になったまま、天井を見つめた。


「ここどこら?」
アルの部屋を見渡し、ふと重要な事に気づいた。


「あれ〜ボクのリュックサックがなぁ〜〜〜い!」


ギンはアルの部屋のあちこちを探し回り、
リュックサックを探したが、見つからない。



「お菓子が永遠と出てくるリュックサック〜〜!」

「うわぁぁぁぁーん!」

「ボクのーーー!リュックサックーー!(;m;)」



ギンは、とうとう泣き出してしまった。


騒がしく叫んでいるギンに
寝ていられずに、アルがベットから
ギンに向かって叫んだ。


「夢の世界なんだから、どうにでもなるだろ!」

「んなことっ!!」


「ぅぅぅ・・・」
「できないよ・・・」
「いつもだったら、手元にあるんだ」
「手放した事なんて、なかったもん」
ギンはペタンと床に座り込むと、
頬に伝う涙をゴシゴシ拭いた。


「オレのせいか・・・?」
「あの時、リュクサック背負ってくりゃ〜良かっただろっ」


投げやりに答えてしまう。


だって・・・あれは夢だったんだから。


でも、こっちにも、多少なりと責任はあるか・・・?



「な・・・泣くなよ。な?」
「ちょっと待ってろb」


止め処なく泣いているギンを放っておけずに、
アルは家を出た。


アルは、またお菓子のリュックサックを
作ってあげようと思ったのだ。



もちろん同じリュックサックが売ってる訳がない。


オレンジ色のリュックないな・・・


仕方なく、アルはギンに似合いそうな
ブルーのリュックサックを買った。


そして、ぴよたのお菓子屋さんに着き、
アルはお店にあるお菓子を一通り見ると、
美味しそうなお菓子を沢山買い入れた。

「アル!どうしたの?!今日は!」
「こんなにお菓子買ってくれるなんて!」
「パーティーでもあるの??」
アルの大量買いに、ぴよたが上機嫌に聞いてくる。


「いや・・・ちょっと知り合いが、うちに来てて・・」
と、アルはアハハwと、うわべ笑いをした。



・・・ギュッギュッギュ・・・

「こ・・これで良しっ」
買ったリュックサックに
山ほどのお菓子を詰め込んだ。



家に帰ると、まだ、ギンはベソをかいて泣いていた。


「ほら〜。ギンのリュック」
アルは、ギンの目の前にリュックを置いた。

「ちょっと、違うけどさ」
「ちょっと・・・と言うか、色も違うし、
向こうの方が、底なしにお菓子が出て来て、
比べ物にならないけど・・・」



「お菓子だって、詰めたんだぜb」
「泣くなよ。また、なくなったら買ってやるから・・」



「ぅ・・ぅん」
やっと、泣き止んだギンは、リュックサックから
さっそく棒つきキャンディを取り出し、食べていた。

「お・・・美味しいか?」
泣きすぎて少し目のはれたギンをアルは覗き込んだ。



「おいし〜(;m;)」




「そ・・・そうか!」
「んじゃ!泣くな!美味し泣きか!?」
アルは冗談を言うと、笑いながら、
ギンのプニプニとした おなかを突付いた。



「アルゥ〜」
お菓子を食べながら、ギンの瞳から再び涙があふれた。

「ここ・・・どこ?(;m;)」

「ボク・・・夢の端から端まで知ってるけど・・・」
「ココ分かんない〜」
「夢の果て越えちゃったから・・・知らない場所来ちゃったぁ」
ペロペロとキャンディを舐めながら、
不安そうなギンがキョロキョロとアルの部屋を眺めた。



「あのなーw知らない場所て・・・w」
「ここ、オレの部屋だぞwww」
そのギンの言葉に、笑いながらアルは答えたが、
顔から笑顔がなくなっていく。


「・・・え?」

「ここって夢じゃないの?!」


夢の果てを飛び越えたら・・・
現実って・・・ぇえ?!
わっけわからん!!


「確かに、いつもと変わらない部屋、町並み・・・」
「違和感のない・・・この感じ・・・」

「ええええええ!!!」

「ギンを現実世界に連れて来ちゃったの?!」(ぉそ



アルは深呼吸すると、
「アハハハハハ」
とりあえず、笑ってみた。



「ギン・・・?大丈夫だ!泣くな!」
「こっちの世界だったら、オレが何でも知ってるb」
アルは自信満々に胸を張って見せた。




「・・・ん〜」
ショボンとした目でギンは
心細そうにアルを見つめた。



「それにしても、ギンは泣き虫だなぁ〜〜〜」

アルは、そんなギンの手元を見ると、
すでに、リュックサックのお菓子が
半分くらい減っている。




「・・・。」



「ギン・・・おまえなぁ〜」


「泣きながら、よく食うなぁ〜〜・・・」




「・・・ん〜(;m;)」







「・・・。」



「お菓子食べすぎ!!!」






「もぉ、今日はお菓子禁止ぃーー!!」






「えぇ〜〜〜〜〜(;m;)」




そんなこんなで、
夢から連れてきてしまったお菓子好きなギンとの
生活が始まるのだった。







ギンが来てから
いつも静かだった自分の部屋が
ほんの少し違って見える・・・




いつも見ている窓からの景色も違って見える・・・




何でだろう・・・?






ギンといると、不思議と楽しい気分になった。




窓から入ってくる心地良い風を浴びて、
アルは大きく深呼吸した。




いつもより色鮮やかに見える風景と

不思議な出来事で遭遇したギンとの出会いに





・・・いつになく心を踊らせていた・・・


― END ―




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