母星への寂しい気持ちは募るが、
ココでへこんでたら、ここに来た意味がない。



母星では、大金持ちのお嬢様で有名だったが、
この地球では、ピピフィーの事を誰も知らない。



以前のように、誰かが、
お世話をしてくれる事もない。



自分がしっかりしなきゃ!





アタシは、ココで、
幸せをつかむ為に来たのだから・・・!





ピピフィーは、落ち込む気持ちを奮い立たせ、
未来を打ち勝つ まっすぐな眼差しを見せた。




日常用品や家具などは、全て揃える事ができる
便利なショップがある事をシトラスから教わり、
ピピフィーとシトラスは、稼ぐ為、
害虫島へと足を運んだ。




ピピフィーは、初めてお相手以外に、
拳法の技を害虫に向けた。


いとも簡単に、害虫は横たわった。


シトラスが害虫の倒し方を教える事など、

無用だった。





「すごいーーー・・・」


シトラスは、無駄な動きが全くなく、
優雅に害虫を倒していくピピフィーを見て、
目を丸くし、驚きを隠せなかった。






ピピフィーは、踊るように倒していき、
息すら切らしていない。




「キレー・・・!」


シトラスは、あまりにも美しく舞うピピフィーを見て、
ため息をついた。



火傷を負った羽もすっかり
綺麗に生え変わっていた。



フワフワとした柔らかそうに見える羽を
自由に振りまき、疲れた様子を見せることなく、
笑顔で、大空を舞う。



・・・すごい・・・


・・・拳法・・・だ・・・




見たこともない、素晴らしい技の数々に、
シトラスの視線は、
ピピフィーに釘付けになった。



相手に隙すら見せない研ぎ澄まされた精神。


目に見えない攻撃。


余韻を残すように宙を舞う羽の美しさ。



ここまで、完成度の高い拳法はないほど。


すばらしいものだった。




ピピフィーは、一息つき、一度、害虫を回収すると、
大量に倒れた害虫を半分シトラスに渡した。



「はい!wシトラス!これあげるねっ!」
「今まで、お世話になった分w」

「それから、これからもヨロシクッw」



シトラスが、口をポカンと開けて、
ピピフィーを見ている間に、
すさまじい数の害虫を倒していたのだ。



「ほらっw」

ピピフィーは、唖然としているシトラスの手に、
無理やり、ズッシリした害虫を持たせた。




「・・・ふぉぁぁああ〜ピピ・・すごいよ・・・」


「・・・す・・すごすぎるよ!」


「短時間で・・・こ・・こんなに(@0@;」




軽く10万以上の害虫を手にしていた。



ピピフィーは、倒れ散らばった害虫の死骸を
次から次と回収している。



「ま・・まだまだあるのか・・・(滝汗」


「・・・うぁぁあ・・・!!」

シトラスは、地面に視線を落とすと、
今までに見たこともないくらいの
害虫の山に、腰を抜かした。



「ちょっとーー!シトラスーw」

「そこで、座ってないで、ここの害虫たち」

「一緒に回収してよぉ〜〜〜!」



ずっしりとした凄まじい数の害虫の山を
持ち上あげ、回収しては、ショップに売り・・
回収しては、ショップに売り・・・


次から次と売っている。



「っていくら稼いだんだよっ!(滝汗」

シトラスは、あまりの風景に、
ピピフィーの言葉も耳に届かず、
バタっと倒れた。




・・・全部で、100万くらいかな・・・



・・・いや・・・



100万以上は・・・あるよ・・・この数・・・




ピピ・・・一気に、もんごの中で、

大金持ちになってしまったじゃないかー!



この・・数分で(ぶわっ


あまりの金額に、シトラスが目をまわした。




「恐るべし、宇宙人・・・」

ふと、シトラスが、口にした言葉に、すかさず、
ピピフィーが突っ込む。


「何?!なんか言った?!(−。−*)」



「いえ!何でもないです!ピピ様!」
シトラスが、冗談めかして言い返した。




「えっへん!w」

ピピフィーは、様をつけられ、
少し鼻を高くあげた。



「ピピの その鼻、折ってやるぅ〜!w」

シトラスが笑いながら、
ピピフィーを追いかけた。



凄まじい数の害虫は、
まだまだ地面に積もったままだったが、
アタシたちは、害虫島で追いかけ合った。




地球に降り立ってから、
シトラスのおかげで、ピピフィーは、
毎日を楽しく暮らしていた。



一羽だけで、暮らしていたシトラスもまた、
ピピフィーと出会って、
楽しい毎日を送っていた。



お互いに、言葉にする事はなかったが、
信頼し合いっていた。



ずっと以前から友達だったような
安心感すら感じる。



そんな関係。




・・・しかし・・・



いつも楽しくて、
優しい笑顔をくれるシトラスにも、
これ以上は甘えられない。




「この通り、傷もスッカリ治ってきたし」
「アタシも自分の力でやっていくよw」


「今まで、本当にありがとう^^w」



そう言い、大金を手にした
ピピフィーはシトラスの家を出た。







ショップから積み木を買い込むと、
シトラスの家の近くに大きな家を作り、
ピピフィーは、自分の力で生活し始めた。



害虫が思うように居ない日。
(すぐ倒してしまうだけかも)


食べたい物が、お店にない日。
(美味しい物を今まで食べていたからかも)



自給自足の生活は、
思うようにはなかなか行かなかった。



しかし、ピピフィーは負ける事なく、
太陽の下、汗をかき、働きながら、
笑顔を見せた。




困難な日々は多々あったが、
その分楽しい事も沢山あったから。





一日一日が充実していた。




そして、一日一日を大切に過ごすようになっていた。







すぐに、もんごでの生活に打ち解け、

ピピフィーは、
もんご一拳法が強く、
もんご一大金持ちで、
もんご一美しさを持つ鳥と、
噂が広まった。


そして、沢山の友達ができた。


皆が目を奪われる その笑顔と
明るく優しい気質に、
誰もが、ピピフィーと仲良くなった。



沢山の友達ができても、
ピピフィーとシトラスは、いつものように、
仲良く2羽で時間を見つけては会った。





ギラギラとした太陽が、
容赦なく照りつけた
ある真夏。


目の前がくらむほどの暑さをしのぐ為、
ピピフィーとシトラスは、
近くにあるプールのある南国の島へ
遊びに出かけた。



そこで、ピピフィーは、
見たことのある花を見つけた。



「・・・!こ・・これ!」

「アタシの星にも咲いてたよ!」

「もちろん・・・造花だったけど・・・(汗)」

「でも、知ってるこの花!見たことある!」


そこに咲いていたのは、


プールを取り囲むように鮮やかに咲く




紫色のブーケンビリア。





「もしかしたら、ピピが来る前に」

「誰かが、地球に来ていたのかもね・・w」

プールの中で、無邪気にチャプチャプと泳ぎながら、
シトラスが言った。


少し考えを巡らせ、ピピフィーはつぶやいた。

「ってことは・・・さ・・」

「その来た鳥は・・地球に来て」

「母国にこの花を持ち帰って」

「作ったって事だよね?!」




バシャ!!!!!!




思わず、水面から
ピピフィーは、飛び上がった。




「ちょとwwww冷たいよ!ww」

頭から水をかぶってしまったシトラスは、
左右に首を振り、ブルブルっと水をはらった。



「・・・そーだよね・・・w」

「育った星、両親の所に帰りたいよね・・w」

少しシンミリと、シトラスがうつむき加減で言う。


シトラスには、両親がいなかったのだ。

小さい時に、離れ離れになったきり、
それからずっと、再会する事はなかった。


どこにいるかも、わからない・・・。


だから、シトラスは、
どこに両親がいるか、わかっているピピフィーを
ほんの少し うらやましく感じていた。



「帰りたいっていうか・・・」

「たぶん・・・心配してると思うんだ・・」


「だから、ココで頑張ってるって」


「一言知らせたいんだ〜」


ピピフィーは遠くを見るような瞳で、
風でなびく水面を見つめた。



「そかぁ〜」
少し寂しそうに返事をするシトラス。



「大丈夫だよ!シトラスとは!」

「ずっと、ずーーーーーと!」
「一緒にいるから!^^w」

ピピフィーは、ジメジメした空気を振り切るかのように、
思いっきり元気のいい声で言うと、
シトラスにプールの水をふりかけた。




「んもぉー!やったなーー!」
シトラスも負けじと、
水をピピフィーに水をふりかけた。



アタシたちは、お互いの寂しさを
十分理解し合っていた。



それでも、青空の下、涙を見せる事なく、


笑顔でいられたのは・・・






何にも代えられない。



深い深い絆で結ばれた


かけがえのない友情が



そこには、あったから。





両親のいないアタシたちは、

明日に向かって歩いて行けたんだ。



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